お店の楽しさは想像していないところに
お店の楽しさは想像していないところに
誰かのサードプレイスになれる喜び

廃業率が高いと知りながら参入し、
お店を潰さないために休みなく働く。
10年目を迎えても、お客様が来るのか不安な毎日。
側からみると、全く楽しそうではないかもしれません。
でも、間違いなく楽しかったんです。
これはお店をやめてから、ひしひしと感じていること。
では、何が楽しいのか?
今日は、その話をしようと思います。
自分のお店を持つと、ワークライフバランスなんて言葉はないんです。
寝ても覚めても『店』という言葉からは逃れることができません。
それでも、楽しかった。
何が楽しいのか。
これはお店の人ごとに違うと思います。
自分が作ったものを美味しいと言ってくれる。
常連さんが会いに来てくれる。
お店の売上が伸びていく。
これらは自分でお店を始めてみないとわからないんです。
お店を始める時に思う「こんなことに喜びを感じそうだ」という想像は、
現実を前にすると全く別だったりするのです。
僕はそうでした。
人の話を聞けることに喜びを感じるなんて、思ってもなかったんです。
その話の前に、お店という場所について。
というのも、話を聞けたのは、お店という場所があり、
そこで様々な人に出会えたからです。
PIECE OF SIGNに入社したのも、音田(代表)が常連だったからですしね。
お店というのは面白いもので、関係性がフラットなんです。
店主とお客様。
そこには利害関係がなく、社内政治もないので、話しやすいんだと思います。
家でも、職場でもない場所をサードプレイスと呼び、
スターバックスはその価値の大切さを提唱していますが、
僕は自分でお店を始めてから、この価値を知ることができました。
サードプレイスを構成しているのは、
ふかふかのソファ、心地よい音楽、美味しいコーヒーではなくて、
人なんじゃないかと思ったんです。
自分で言うのも恥ずかしいんですけどね。
でも、お店をやられてる人は、
うっすらと、けれど確実に感じているのではないでしょうか。
僕のやっていたお店はテイクアウトのみで、
ゆっくりとするスペースもなく、
かかってる音楽はカフェで流れるようなものではありませんでした。
しかし、そんなことは全く関係なく、
常連さんができ、何かしらを話しに来てくれていました。
軽いことも、重いことも。
身内でも、友達でもないのに、話したいと思って来てくれる。
これが仕事になるというのが、少し不思議な感覚で。
「ありがとう」と言うべきなのはこちらのはずなのに、
お客様のほうから「ありがとう」と言われる不思議。
どんな仕事でもこんな関係性が生まれるとは思うんですが、
僕らはその声や表情を、見ることも聞くこともできるんです。
自分の手で作ったもの、話してて楽しかったこと、
その感想を、その場で。
関係性ができあがってくると、
お客様からだけではなく、僕のほうからも話したいことが出てくることがありました。
とあるニュースを読んだとき。誰かの話を聞いたとき。
ある人の顔が浮かび、その人が来ないかなと待ちわびる日々。
楽しそうでしょ?
こんな日常を送っていると、「大変」とか「不安」がどこかに行ってしまうんです。
それで、ふと冷静になった時に、
そいつらはまた帰ってくるんですけどね。
家でも、職場でもなく、家族でも、友達でもない。
だからこそ、話せることがあり、必要とされることがある。
その一人になれるのは、思いのほか嬉しいことでした。
お店をやっていると、
様々なしんどいに押し潰されそうになる日もあると思いますが、
そんな時こそ忘れずに。
必要としてくれる人がいて、
だからこそ今まで続いているという事実を思い出してください。