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毎日休むことなくお店を開けた理由

 

毎日休むことなくお店を開けた理由

お店の理想と、見過ごせない現実

THE LATTE TOKYO の店先

この連載で、何度か「僕は毎日お店を開けた」と書いてきました。

定休日はゼロ。実際、9年半で6日ほどです、お店を営業しなかったのは。
年に一度のマシンメンテナンスの日と、心が折れてしまった一日だけ。

この話をすると、よく「どうしてそこまでできたんですか?」と聞かれます。
理由をあらためて考えると、それはお客様のためでもあり。
そして、「お店の終わりを考えたから」でもありました。

理想はありながら、リアルな側面もやっぱり見据えなきゃいけない。
今回はそんなお話です。

理想のお店は、「いつ来てもやっていて、いつもの人がいる」こと。
こんなコーヒー屋さんがあったらいいなと思い、
「それなら自分でやるしかない」と始めたのが365日営業。

僕にとってのコーヒーは日常にあるもの。
飲みたい時に飲めなければ意味がないのです。
さらに、あの人に会いに来たのに、その人がいないというのは、
何のために来たのかもわからなくなります。

だから、毎日お店を開けて、毎日お店に立っていました。

ほかにも、カフェという業態はモノでの差別化が難しいので、
人でしか差別化できなくなる。
そんな思いもありましたね。

お客様の感想は、ある基準を超えていれば、どんなお店でも「美味しい」となる。
じゃあ差別化は何でするのか。

人でしかない。そんな結論です。

僕自身、モノよりヒトで選ぶことが多かったので、
自分のお店もそうなったらいいなと考えていました。

飲みにきたのではなくて、会いにきた。
そんなお店が生き残れるんじゃないかと思ったのです。

ただ、行き着く先は、"お客様のために"なんですけどね。
いつも開いてるのも、いつもの人がいるのも。

僕が「こうありたい」と願ったのはそんなお店でした。

とはいえ、こう書くと綺麗事が過ぎるので、他の要素も付け加えます。

まず、飲食店の廃業率。
これが高いということを知っていました。

  • 開業後1年以内: 約30%
  • 開業後3年以内: 約70%
  • 開業後10年以内: 約90%

調べると、このような数字が出てきます。
お店を始めた10年前も、同じような内容が書かれていました。

ほとんどのお店は生き残ることができない。
それを知っているのに、僕らは始めてしまうんです。
不思議な生き物です。

だから、考えたんですよ。
「後悔なく終わるにはどうしたらいいか」と。

自分のお店は3年は持たない。うまくいっても5年だと思っていました。
3年で無くなるのなら、その3年は後悔なく運営しよう。

潰れるのがわかっているのに、休んでる場合ではない。

そう考えると、休みが無くなりました。

実際、お店を閉めた時は、全く後悔がありませんでした。

「もっとやればよかった」とお客様に対して思うことはありますが、
お店を開くことに関しては一切ないんです。

あれ以上はない。と、今でも言い切れるので。

ただ、年中無休はあくまでも一例なので真似をしないでくださいね。
休みは取るべきだと思いますし、休まないことで、
お店ではなくご自身が潰れてしまっては元も子もないですから。

僕が伝えたいのは「終わりを考えたときに、今の自分がどう映るか」です。

何となく続けてしまう、惰性で開けている、同じ日々の繰り返し。
お店を開けていた時、言いようのないこの無気力感、
凪の状態で過ごしている日々に、何度も嫌気が差したことがありました。

でも、
"誰のために、なんのために"
この問いを繰り返し続けた。

それが、僕の9年半でした。

「今日という日は、残りの人生の最初の日である」
チャールズ・ディードリッヒの言葉を忘れずにいれば、
どんな最後だろうと後悔はないと思うんです。

終わる時、笑えてますかね。