集客には答えがないからこそ、積み重ねてきた

 

「集客には答えがないからこそ、積み重ねてきた」

店舗をオープンしてから常連さんが増えるまで

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前回のコラムでは、PIECE OF SIGN の商品開発チームの福永さんに、
THE LATTE TOKYO の開業から PIECE OF SIGN に加入したきっかけを聞きました。

一筋縄ではいかなかった、当時の店舗オープン。
開店準備はようやく終わった。
でも、いざお店を開けてもお客さんが来ない——

オープン直後に誰もが悩む、集客の問題。
「思っていたのと違う現実に直面した人は少なくないはず」と福永さん。

今回は、そんな状況からどのようにお客さんを増やしていったのか、聞いてみました。

オープン当初はマイナス着地

── 前回、お店を開けてからお客さんが来なかったと話してましたね。
その現実を直視できなかったというお話も。
そのあたり、詳しく聞かせてもらってもいいですか?
福永 お店を開けるまでが大変だったので、
その後のことは正直考えていなかったんです。
お店を開けるのがゴールになっていました
── 考える余裕がなかったんですか?
福永 余裕というか、頭からすっぽり抜け落ちてる感じですね。
考えることすら忘れてました
── 目の前のことに忙殺されてたんですね
福永 お店の準備ってなかなか大変で、
色々な業者さんとのやり取りが同時に進むんです。
だから、早く終わらせたい。
そうなると、目の前のことに集中してしまって
── それでいざオープンしてみると、お客さんが来ないぞ、と
福永

多分、僕は商売を舐めてたんです。
お客さんは当たり前に来ると思っていたくらいですから。
今思えば、大きな反省点ですね。

インスタグラムのアカウントを作ったのも、オープンの前日でした。
『明日からオープンだ、どうしよう…とりあえず告知ぐらいはするか』
くらいの調子で

── 集客の準備ができていなかったんですね。
実際はどれぐらいの客数だったんですか?
福永 最初の1ヶ月は1日10人とかですね。
20人来れば御の字でした
── 売上でいうと?
福永

1日1万円あるかないかぐらい。
なので毎日営業して30万円弱。
そこから原価を引いて、固定費を払って、
借入金の返済をして、見事にマイナス着地

── それは折れそうです…
福永 本当に折れそうでした。
さっきの項目には人件費が入ってないですし。
毎日働いたのに赤字で、しかも給料がないんですから
── 想像するだけでも、相当きついですね
福永 めっちゃきつかったです。
でも、『やーめた』ができないのが店舗運営なので、
走りながら考えました
THE LATTE TOKYOのカフェラテ

カップのデザインもブラッシュアップ

手探りで、できることを突き詰めた

── 具体的にはどんなことを?
福永 相方がグラフィックデザインができるので、
ドリンクのパッケージをおしゃれにしてくれました。
SNSで訴求できるように。
あとは、地道な努力です
── 地道な努力とは?
福永

毎日お店を開けました。

お店を開け続けることで、街の人に"いつもやってる店"として
覚えてもらえるんじゃないかという狙いもあって。

僕自身、何度も好きなお店の臨時休業に立ち会ったり、
会いに行ったのにいなかったりみたいなことが起きたので、
それがないお店にしたいなと思ったんです

── 休もうとは思わなかったんですか?
福永 休みを取る余裕がなかったんですよ。
なんせ赤字ですから。
売上を捨ててまで休みたいという考えはなかったですね
── 効果はありましたか?
福永 SNSの訴求も、お店を開け続けることも、
来店数が劇的に変わることはありませんでした。
でも、一ヶ月が終わってみると、前月より少しずつ良くなっていく。
それの積み重ねでした
── 休まない効果が出たんですかね?
福永

それはわからないんです。
"365日休みなし営業"をやってない未来を知らないので。

だからどの施策が効いたとか、お店を開けてたからっていうのが
理由なのかは、わかりません

── 効くかどうか、わからないものなんですね
福永 約10年お店をやってわかったことは、
一発で集客が変わるようなことって、
テレビやYouTubeで取り上げられたり、
劇的なバズが起きた時ぐらいなんですよ
── 具体的ですね
福永

実体験ですから。
でもこれらはコントロールできないんです。
相手があってのことなので。

だからこそ、自分でできることは地道なことしかないと思います

── 売り込みとか、広告を打つとかは?
福永 しなかったですね。
なんでしょう、それをやるのはダサいって感覚でした。
今思えばやれることはやれって気持ちもありますが、
でも多分やらないと思います
── 良いものを作っていれば自然とメディアに
取り上げられるって感覚なんですか?
福永 うーん…
そういうことをしてまで取り上げてほしいって感覚がなかったですね。
これで気にも留められないなら仕方ないかと
── でも集客はしたいんですよね?
福永 このバランスが難しいんですよ。
経営者ではあるから集客はしたい。
でも、現場にも立っているからダサいことはしたくない。みたいな
── なるほど。その葛藤は確かにありそうですね
福永 なので、自分の中で"これはやろう""これはやらない"を、
感覚で決めてました
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半地下の店舗に誘導するため、電柱にもサインを掲示

集客とは、できることの積み重ね

── 線引きしながらも、できることは地道に、
かつ徹底的に続けた結果、お客さんは増えていったんですね
福永 3年ぐらいは順調に伸びていきました。
もっと何かやってたら早く軌道に乗ったかもしれません。
それも今となってはわかりませんけど
── では、集客をどうしようと迷っているオーナーさんへの
アドバイスがあるとしたら?
福永 これが効くってのはわかりません。
SNSは当たり前にやってると思うので、
それより先はやりたいことをやればいいって感じですね
── もう少し具体的に言うと?
福永

ポスティングとか広告とか取材依頼とか、
集客の方法は調べればいくらでも転がってると思うんです。

その中で、自分が気になったものを
手当たり次第やるのがいいと思ってます。
やらないとわかりませんから

── やらないとわからないし、やってみてもわからないことが多い。
集客の難しさですね
福永

これが答え!なんて言ってる人がいたら詐欺師です(笑)。

だからこそ自分の納得感が大切だと思うんです。
費用対効果や見せ方を考えて、何をするか決める。
それでうまくいけば成功だし、集客に繋がらなくても、
効果がないとわかっただけで考えることを減らせますから

── 考えたうえで、やりたいことをやると
福永

それが唯一の正解だと思います。

個人的には"きちんとお店を開けてnoteを書く"ことをお勧めしますが、
これは即効性がないので地道に続けられる人はやってみてください

── まさに、一つ一つの積み重ねですね
福永

顔を覚える、名前を覚える、会話をする。
これらも当たり前ですが地道な努力ですしね。

集客って、誰かを動かすことじゃなくて、
自分が続けた結果な気がするんです

何年も続くお店のスタートも、毎日の積み重ねから。
うまくいくかどうかわからない、だからこそやってみる。

集客には近道がないからこそ、
「誰のための、どういうお店にしたいのか」から出発して試してみるのが良いのかもしれません。