商品で差別化できないからこそ、手を抜かない

 

商品で差別化できないからこそ、手を抜かない

「コト消費」時代の前提条件

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情報発信をして、あなたが何者なのかを知ってもらう。
そのどれかに引っ掛かり、お客様が増えていく。

だから、情報発信をしましょうね。
前回はそんな話を書きました。

でも、情報発信の前に、もっと大切なことがあります。
それを忘れてしまうと、どんなに発信しても意味がありません。

「モノ消費ではなく、コト消費」

耳にタコができるぐらい、この言葉を聞いたと思います。
でも、勘違いをしてはいけないんです。

モノが前提だということを。


僕がお店をやっていた頃、一人の男性がいらっしゃいました。

「カフェをやりたいんです。人が集まる場所を作りたくて」

「いいですね。コーヒーはどうされるんですか?」

「飲食は未経験なのでコーヒーの淹れ方も正直わかりません。だから、ネスカフェのカプセルのやつにしようと思うんです」

その言葉に、僕は正直に言うと、飲食を甘く見ているなと感じました。

ネスカフェのコーヒーが悪いというわけではなく、場づくりを否定しているわけでもありません。
ただ、それでお客様がついてくると思っている部分に、甘さを感じたのです。

美味しくないお店が無くなった今、家でも飲めるクオリティのものに、お金を払うのか。

一度は来ても、二度は来ない。
そんなお店は続かないんです。

売上の8割は2割の常連さんによって支えられるという話があります。
果たして、あなたが提供するものは、何度も飲みたいと思えるものなのか。
それを今一度考えてほしいなと思いました。


もし僕がカプセルタイプのコーヒーでカフェをやるなら、
コワーキングカフェにするぐらいしか思い浮かびません。

フリードリンクにして、ドリンクでお金を取らない。
他で価値を提供し、そっちがメインの機能となるなら、ドリンクのこだわりは必要ないでしょう。
お客様の目的がコーヒーではないので。

そういうことであれば、男性の背中を押していたと思います。


「モノで差別化はできなくなった」
これは事実ではあるんですが、そこに手を抜いていいという話ではないんです。

あくまでも前提は、もう一度それを味わいたいと思えるか。

お店をやりたい動機も、お店をやる人の背景も、それぞれでいいと思うんです。
未経験者でもやれるのが、飲食の良いところでもありますしね。

ただ、お金をもらって商品を提供することには、真剣に向き合ったほうがいい。

あなたが客なら、もう一度来たいと思えるか。
素敵な場所で、落ち着く空間だとしても、美味しくないものには二度とお金を払わないでしょう。

一見さんばかりを相手に考えているならまだしも、自分でお店を始める人にそんな人は少ないと思いますし。


「モノ消費ではなく、コト消費」
「情報発信で集客」

これらの言葉は正しいけれど、全てではありません。
そもそもの前提を忘れないように。

それがなければ、コト消費や情報発信の部分でも、苦労することになると思うのです。

Written by

福永英侍

PIECE OF SIGN 商品開発チーム。元「THE LATTE TOKYO」オーナー。約10年間休まず、渋谷区神山町で小さなコーヒースタンドを運営。当時の経験をもとに、店舗に寄り添う読み物も執筆中。