お店がバズり、そして閉めたくなった

 

お店がバズり、そして閉めたくなった

SNSの功罪と、本音で伝えるべきこと

インスタグラムと店舗運営のイメージ

これまで「情報発信をしましょう」と書いてきました。
集客し、想いを伝え、常連さんを作る。それが基本的に無料でできる。
お店にとって、こんなにもありがたいツールは他にありません。

ただ、良いことばかりではありませんでした。
僕のお店は何度かInstagramでバズが起きたことがあります。お客様が増え、売上は上がった。
でも、僕は全く楽しくなかったんです。

今日は、SNSの「功」と「罪」について話しようと思います。

かつて、Instagramでバズったとき。
はっきり言うと、お店を閉めようとすら思いました。

僕は、「映え」のお店として消費されることに、心がついていきませんでした。
写真を撮るために来る人が増え、作ったものが蔑ろにされるのを見るのは辛く、
氷が溶けるまで撮影を続ける人を眺めていると、僕の気持ちは少しずつ削れていきました。

何のために、誰のために。
僕はよくこの言葉を自問するのですが、どう考えてもこの人たちのためではありませんでした。

写真を撮ってもらうためにドリンクを作っているわけではなく、承認欲求を満たすために場を提供しているわけでもない。
そう考えると、閉めたいと思うのも必然だった気がします。


「映え」のお店として認知が広がっていくと、売上とやる気が反比例していきました。
経営としては成功しているけれど、続けたい形ではない。
このままだと、遅かれ早かれ閉めるしかない。

そう思ったとき、きちんと伝えようと決めたんです。
このまま勝手に諦めて、店を閉めるのは違うなと。

何のためにお店を開き、誰のためにやっているか。
こんな人は来てほしくないし、それがしたいなら他のお店に行ってくれ。
正直に思っていることをnoteに書き、Instagramにも転載をしていました。

排他的だと思われるでしょうし、怖いお店だと思われるかもしれない。
そんな懸念もありましたが、それよりも消費されて終わるほうが嫌だったんです。


思いのままに文章を書いていると、最初に反応してくれたのは常連さんでした。

「言ってくれてよかった」
「応援してる」
「今までよりも通います」

お客様が少なくなることを僕以上に考えてくれた人もいて、感謝しかなかったですね。
僕はこの声を直接聞けたことにより、お店を続けることができました。

「映え」目的でお客様が増えた時、十把一絡げにして全員がそれ目的だと思い込んでいました。
誰も中身なんて求めていないし、写真が撮れればそれでいいんだと。
でも、実際は違ったんです。

来てくれる人の中には、理解してくれる人がいる。
それに気づけたのは発信をしたからです。


情報発信には功罪があります。
どんな目的で、どんなお客様に来てほしいのか。
それを明確にすると消耗することもないと思います。

ちなみに、「こんな人は来ないでくれ」と発信したところで、そういう人たちが来なくなることはありません。
基本的に、文章を読まない人がほとんどです。

でも、お店のことが好きな人は、それらを読んで溜飲を下げてくれるんです。
自分が好きなお店を「映え」として消費されるのは、お店の人と同じぐらい嫌ですからね。
その人たちのためにも、きちんと伝えるべきだと思っています。

Written by

福永英侍

PIECE OF SIGN 商品開発チーム。元「THE LATTE TOKYO」オーナー。約10年間休まず、渋谷区神山町で小さなコーヒースタンドを運営。当時の経験をもとに、店舗に寄り添う読み物も執筆中。